海外安全対策情報(2018年7月~9月分)

平成30年10月12日

1 社会・治安情勢

 サハリン州及びユジノサハリンスク市内は,政治的に安定しており,また,現在のところ治安情勢に影響を及ぼす大規模な反政府勢力の活動は見られないものの,昨今,各国で発生しているテロ情勢に鑑み,当地でもテロが発生する蓋然性が高いため,不特定多数の者が集まる公共施設等の場所を訪れる際には,不測の事態に巻き込まれることがないように注意を払う必要がある。
 
 

2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向

(1)当地検察庁の発表によると,2018年1月から8月までの間で,6,604件の犯罪が登録されており,同件数は,前年同期と比較すると14.8パーセントの減少に転じた。また,2017年サハリン州で発生した犯罪件数について,治安機関の発表によると,治安当局に登録された犯罪件数は,11,449件であり,前年と比較すると799件減少に転じた。全体の犯罪件数は,減少に転じているものの,その犯罪種別の内訳を見ると,強姦及び強姦未遂(前年比の2.9倍),殺人及び殺人未遂,重度傷害,粗暴行為,薬物違法流通といった凶悪事件の発生件数が増加に転じている状況であり,これら犯罪は,当地在留邦人,旅行者等の生活に直接脅威となり得るものであり,当地の治安情勢は,引き続き予断を許さない状況にある。

(2)主な犯罪内訳(括弧内は2016年を100%とした比)

ア 殺人及び殺人未遂:60件(105.3%)
イ 重度傷害:174件(108.8%)
ウ 強姦及び強姦未遂:26件(290%)
エ 強盗:21件(65.6%)
オ 略奪:227件(84.7%)
カ 窃盗:3,928件(82.8%)
キ 詐欺:1,060件(97.0%)
ク 粗暴行為:7件(116.7%)
ケ 薬物違法流通:1,110件(119.7%)

(3)また,2017年,ロシア検事総局が発表した資料によると,当地人口10万人当たりの犯罪発生件数が,2,022件であり,この数値はロシア全連邦構成主体の中で第3位に位置しており,当地の犯罪発生率が極めて高い水準にあることを示している。

(4)邦人被害事案

なし

(5)邦人以外の被害事案

ア 殺人・傷害事件
知人や会社の同僚で,アルコールを摂取中に喧嘩となり,殺人や重度の傷害事件に至る事件が各地で発生した。

イ 窃盗事件
年金受給者の介護を行っていた人物が,年金受給者の不在の間に同人の携帯電話の銀行情報を操作して,自分の銀行口座へ送金した事件が発生したほか,友人や会社の同僚等を自宅に招いて,飲酒中に現金や金目の装飾品を窃取した事件が各地で発生した。

ウ 強盗事件
高齢者や若い女性の住居に押入り,ナイフで脅した後,金銭や携帯電話を盗む事件が各地で発生した。

エ 薬物流通事件
警察官による職務質問時,乗車する車内から自己消費目的による薬物所持が発覚した事件,自己消費目的で薬物を製造するため,違法に自宅敷地内で薬物成分が含有する植物を栽培した事件が各地で発生した。

オ その他(密漁事件)
サハリン州検察庁の発表によるとコルサコフ,ポロナイスク,ドリンスク,オハ,アニワの地域において,昨年と比較し,サケを狙った密漁事件の発生件数が3倍に増加した。