海外安全対策情報（2019年1月～3月分）

　サハリン州及びユジノサハリンスク市内は，政治的に安定しており，また，現在のところ治安情勢に影響を及ぼす大規模な反政府勢力の活動は見られない。最近，当地において平和条約締結に関する日露間の交渉に関して，共産党サハリン支部等による領土返還への反対集会が行われている。今後も，同集会の実施が懸念されるところ，当地に居住する在留邦人等が，不測の事態に巻き込まれることがないように注意を払う必要がある。

（1）2018年に，当地内務省に登録された犯罪件数は，9，996件である。同件数は，前年と比較して，1，453件の緩やかな減少に転じる結果となった。また，犯罪内訳を見ても殺人及び殺人未遂等及び重度傷害等の凶悪事件の発生件数が減少に転じた。しかしながら，当地で生活する在留邦人，旅行者及び当館館員の生活に直接脅威となり得る強盗及び略奪の犯罪種が，引き続き高い水準にあることからため，予断を許さない状況にあると思料される。

（2）主な犯罪内訳（括弧内は2017年を100％とした比）
ア　殺人及び殺人未遂　50件（83．3％）
イ　重度傷害　　　　164件（94．3％）
ウ　強姦及び強姦未遂　11件（42．3％）
エ　強盗　　　　　　　31件（147．6％）
オ　略奪　　　　　　206件（90．7％）
カ　窃盗　　　　3，492件（88．9％）
キ　詐欺　　　　　　900件（88．0％）
ク　粗暴行為　　　　　11件（157．1％）
ケ　薬物違法流通　　853件（76．8％）
コ　恐喝（ゆすり）　　22件（169．2％）

（3）邦人被害事案
　　　なし

（4）邦人以外の被害事案
ア　殺人・傷害事件
　殺人及び傷害事件は，州内の各地で発生しており，特に家族間（夫婦間及び実兄弟間）で飲酒中に家庭問題等の口論が発端となり，殺人や傷害事件に発展する事件が多く発生した。　
イ　窃盗事件
　施錠されていない車両内から金製品を窃取した事件，閉店した商業施設に侵入して商品を窃取した事案，友人宅及び隣人宅で飲酒中に金品を窃取した事案，知人及び交際相手の銀行口座から銀行口座所有者の携帯電話を操作して現金を自分の口座に送金して窃取した事件等が，州内の各地で発生した。　
ウ　強盗事件
　隣人及び不在の住居に侵入して，居住者を脅した上で金品を窃取する事件が発生した。
エ　薬物流通事件
　警察官が，走行中の車両を停車させて検査した結果，薬物所持事件として検挙に至った事件，住民等の通報により薬物所持事件として検挙に至った事件が発生した。また，1月に，コルサコフ市の市議会議員が車で走行中，警察官の検査を受けて，大麻所持が発覚した事件が発生した。