海外安全対策情報(2019年4月~6月分)

令和元年7月9日

1 社会・治安情勢

 
 当地は,政治的に安定しており,また,これまで,治安情勢に影響を与える反政府勢力の活動も見られない。しかし,昨年から平和条約締結に関する日露間の交渉に関して,共産党サハリン支部等による領土返還への反対集会が行われており,当地で居住する在留邦人及び館員並びに邦人旅行者が,不測の事態に巻き込まれないように注意を払う必要がある。
 

2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向

(1)2018年に,当地内務省に登録された犯罪件数は,9,996件である。同件数は,前年と比較して,1,453件の減少に転じた。犯罪種別の内訳を見てると,殺人及び殺人未遂等及び重度傷害等の凶悪事件の発生件数が減少に転じた。しかし,当地で生活する在留邦人,旅行者及び当館館員の生活に直接脅威となり得る強盗及び略奪の犯罪種別が,高い水準にあることから,引き続き,予断を許さない状況にある。

(2)主な犯罪内訳(括弧内は2017年を100%とした比)
 ア   殺人及び殺人未遂 50件( 83.3%)
 イ   重度傷害 164件( 94.3%)
 ウ  強姦及び強姦未遂 11件( 42.3%)
 エ   強盗 31件(147.6%)
 オ   略奪 206件( 90.7%)
 カ   窃盗 3,492件( 88.9%)
 キ  詐欺 900件( 88.0%)
 ク   粗暴行為 11件(157.1%)
 ケ  薬物違法流通 853件( 76.8%)
 コ   恐喝(ゆすり) 22件(169.2%)

(3)邦人被害事案
なし

(4)邦人以外の被害事案
 ア 殺人・傷害事件
殺人及び傷害事件は,州内の各地で発生しており,特に家族間(夫婦間及び実兄弟間)で飲酒中に家庭問題等の口論が発端となり,殺人や傷害事件に発展する事件が多く発生した。また,ユジノサハリンスク市役所では,市長への面会を求めて来た男性が,面会を断られたことに腹をたて,事前に用意していた包丁やナイフで付近にいた男性を切りつけた事件が発生した。
 イ 窃盗事件
窃盗事件は,州内の各地で頻繁に発生しており,知人等のクレジットカードを窃取して,現金を窃取する事件が最近,目立って多く発生しているほか,知人や交際女性の自宅から貴金属を窃取する事件も発生している。
 ウ 薬物流通事件
警察官が,走行中の車両を停車させて検査した結果,薬物所持事件として検挙に至った事件,住民からの事前通報により薬物所持事件として検挙に至った事件が発生した。