海外安全対策情報(2019年7月~9月分)
令和元年10月4日
1 社会・治安情勢
当地は,政治的に安定しており,治安情勢に影響を与える反政府勢力の活動も見られない。しかし,昨年から平和条約締結に関する日露間の交渉に関して,共産党サハリン支部等による領土返還への反対集会が行われており,今後も,同集会が定期的に開催される虞があることから,当地で生活する在留邦人及び館員並びに邦人旅行者が,不測の事態に巻き込まれないように注意を払う必要がある。
2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)2019年5月末時点で,当地内務省に登録された犯罪件数は,3,971件である。前年の同時期と比較すると,1.3%の減少に転じた。犯罪種別の内訳は,殺人及び殺人未遂,強姦,強盗等の凶悪犯罪の件数が減少に転じた。しかし,上半期の特徴として,交通事故及び道路利用者の死亡事件の発生が,非常に高く増加に転じている。当地で生活する在留邦人,旅行者及び当館館員の生活に直接脅威となり得ることから,十分な注意が必要である。
(2)2018年の犯罪登録件数
2018年に,当地内務省に登録された犯罪件数は,9,996件である。同件数は,前年と比較して,1,453件の減少に転じた。犯罪種別の内訳を見ると,殺人及び殺人未遂等及び重度傷害等の凶悪事件の発生件数が減少に転じた。しかし,他の地域と比較すると高い水準にあることから,引き続き,十分注意をする必要がある。
(3)主な犯罪内訳(括弧内は2017年を100%とした比)
(1) 殺人及び殺人未遂 50件( 83.3%)
(2) 重度傷害 164件( 94.3%)
(3) 強姦及び強姦未遂 11件( 42.3%)
(4) 強盗 31件(147.6%)
(5) 略奪 206件( 90.7%)
(6) 窃盗 3,492件( 88.9%)
(7) 詐欺 900件( 88.0%)
(8) 粗暴行為 11件(157.1%)
(9) 薬物違法流通 853件( 76.8%)
(10) 恐喝(ゆすり) 22件(169.2%)
(4)邦人被害事案
なし
(5)邦人以外の被害事案
(ア) 殺人・傷害事件
殺人及び傷害事件は,州内の各地で発生している。交際相手との間で口論となり,若い女性の首や頭を殴って殺害して,ガソリンをまいて証拠隠滅をはかると言った凶悪な殺人事件が発生したほか,刑務所から出所したばかりの3名の男性が,若いタクシー運転手の男性を殺害する事件が発生した。
(イ) 窃盗事件
路上に駐車する未施錠の自動車内から携帯電話や自動車部品を窃取する事件,店員が客の対応をしている隙を見て,店内から高額な商品を窃取する事件,親や知人,交際相手の自宅から貴金属や現金を窃取する事件が州内の各地で発生した。
(ウ) 薬物流通事件
住民から警察への事前通報により自己消費目的での大麻栽培が発覚する事案,ロシアの近隣諸国から薬物販売の目的でサハリンへ入国して,違法に薬物を販売した組織犯罪グループが複数,逮捕する事件が発生した。
(エ) 詐欺
インターネットに広告を掲載して,事前に商品代金を振り込ませた後,連絡を絶って,現金を騙し取る事件が各地で発生した。